生き方もビジネスも
「無理しないこと」を
目指したら、
ずっと
生きやすくなりました。

プロローグ

2014年、ガーナ初のオンラインショッピングサイトが、やっと日の目を見ようとしていました。ＭＢＡ時代に出会ったガーナ人のビジネスパートナーと起業し、１年かけて形にしてきた事業です。そんなとき、数カ月前に舌にできた突起物がドクドクと痛み始めました。
尋常ではない痛みに「これはおかしい」と思い、インターネットで検索すると、１枚の写真が目にとまりました。舌がんの写真です。–これだ。

急遽日本に帰国し、大学病院で検査を受けると、やはり舌がんと診断されました。部分切除の手術を受けるために入院しましたが、手術後は少しゆっくりして日本食を楽しんだら、またガーナに戻ろうと思っていました。
けれども、転移の可能性が高く頻繁な通院が必要だったので、日本に拠点を移さざるを得なくなりました。今後も当たり前に続いていくと思っていた日常が突然ひっくり返ってしまったのです。
術後は舌が腫れ、息苦しくて寝つけない夜が続きました。
そんな時、噂を聞いて心配してくれたオランダの友人からメッセージが届きました。彼女の近況を尋ね返すと、「私、彼氏ができたの！　すごく幸せ。嬉しくてたまらない」と無邪気にはしゃいでいます。人の幸せを初めて素直に喜べない自分に、戸惑いました。
一緒に起業したパートナーとも別れて、まだ事業からの収入もなく貯金を切り崩しながらの生活で、自分の人生がこの先どうなるかもわからなかったからです。

どうして私は、頑張れば頑張るほど、つらくなるのだろう？
がんと診断されても平気だったのに、初めて涙がこぼれました。